平田木材店との出会いは、遡ること数十年前。私が大学生の時に、土方のアルバイトでお世話になったことがきっかけでした。大学1年から3年の春休みと夏休みは決まってアルバイトをしていました。14年前に行ったリフォームの時に平田木材店にお世話になりましたが、大学時代から知っていたこともあり、家のことなら平田木材店とずっと心に決めていました。
この家は築54年程を迎えます。一般的に木造住宅の寿命は50年程と言われていますが、まだまだ不自由なく過ごすことができますし、この建物を守っていくことで、この町に住んでみたいなと思ってもらえるような街並み作りに少しでも貢献できればとも思っているんです。まだまだこの町にはリフォームをすれば息を吹き返す家々がたくさんあります。若い方々にも定住向きの家として、これらの家を考えて頂けると、とても良いなと考えています。
古民家リフォームでのこだわりはリフォーム前にあった柱を使っていることですね。その柱にはたくさんの傷が残っていますが、これは子供たちの成長の跡なんです。この柱は私たち親子の絆をつなぐ大切な柱です。この想いを平田木材店の設計士である谷久さんに尊重を頂き、実現させることができました。
もう一つのこだわりは玄関にある照明です。実はこれ、昔、田植えをする時に使った定規なんです。今は使われなくなってしまい、農作業小屋の中で眠っていたのですが、これを上手く切っていただいて、ライトを入れて照明にしました。僕たちの代で家をリフォーム・増築をしましたが、僕たちの力だけで出来たわけではなく、元々この家としてあったということ。その想いと感謝の気持ちだけは忘れないでいたいと考え、何か古い家で使えるものは、どこにでも良いから使ってほしいということで要望を伝え、実現頂きました。
そんな私たちの想いを一生懸命に実現してくれる平田木材店ですが、丁寧な仕事ぶりでとても安心してお任せすることができました。特に、構造については一切の妥協はありません。昔の話ですが、うちで農作業小屋を造った時に、平田会長に基礎を作ってもらったら、とんでもない頑丈な基礎を作って頂きました。「なぜ、農作業小屋でこんな無駄なことをするんですか?」と私が言ったら、「お前は建築基準法を知らんのか馬鹿野郎!」と言われまして。おそらく、そんなDNAが平田木材店さんの中でも代々繋がっているのではないでしょうか。そのDNAを受け継いだ平田社長にもとても頑張って頂いたのが、今、私たちが住んでいるこの家なんです。一般的な施工店や工務店はこの程度で良いだろうということはたくさんあると思いますが、施主がこだわりを持っていれば、とことん向き合って考えてくれますし、やることはきちんと、やらないことはできないと断る姿勢でとてもやり取りがしやすかったです。
設計当初から、設計士の谷久さんと決めていたことがありました。それは、この家は自然のもの以外は絶対に使わないということ。フローリングにしても、出来るだけ無垢のものを使っています。壁は漆喰とシナべニア。天井もシナベニア。照明器具は何一つ照明器具としての存在感を示さないこと。だからダウンライト以外は取り入れませんと色々と注文をお伝えさせて頂きました。また、杉好きの谷久さんからは杉を色々な所に活用した提案を頂き、それも取り入れています。「杉というのは呼吸をする」、だから水回りは必ず杉。納戸の中や押し入れもです。杉の木が湿度をコントロールしてくれるから、やっぱり天然の良さを使わなければいけないというのが谷久さんのお考えなんです。
このように、平田木材店さんに建築をお願いすると、建ててもらうのではなく、お互いのこだわりをぶつけ合って一緒に建てたという達成感を味わうことができる所が平田木材店さんの良い所なんです。
築年数 | 約50年 |
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リフォーム・リノベーション場所 | 家屋全体を増改築 |
敷地面積 | 648.98㎡ |
延床面積 | 462.08㎡(うち増築部分は109.031㎡) |
建築用途 | 住宅 |